認知特性を知ればメモがもっと取りやすく・振り返りやすくなる
発達障害の診断を受け、WAIS-ⅢとGATBを受けた経験から、人には得意不得意があり、不得意を得意に変えようとするのではなく得意な方法で工夫して不得意をカバーするほうが生活しやすい、ということを学びました。
そして、得意不得意にはその人の「認知特性」が大きく影響しているということを知りました。
そして、認知特性を知ればメモがもっと取りやすく・振り返りやすくなるのではないかと思ったのです。
今回は、認知特性別のメモの取り方・振り返り方について考えてみます。
「認知特性」って何?
私はWAIS-Ⅲを受けてから少しして、「認知特性」という言葉を知りました。
本田真美さんの著書医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)という本を読んだのがきっかけです。
この本で、人には認知特性というものがあり「同じことを聞いても誰もが同じように理解するわけではないし、同じ結論を持っていても、同じように表現するわけではない」ということについて深く考えさせられました。
この本によると認知特性とは、
神経心理学の分野ではよく使われる言葉です。ひと言でいうと、「外界からの情報を頭の中で理解したり、整理したり、記憶したり、表現したりする方法」です。
ということです。
私は電子書籍版の
医師のつくった「頭のよさ」テスト〜認知特性から見た6つのパターン〜【電子書籍】[ 本田真美 ]
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で購入したのですが、
紙の本としても売っていて、こちらは2タイプあるみたいなので読みやすいほうを参考にされるといいと思います。
医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)
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6つに分けて考える認知特性
本田さんは外来に毎日訪れる患者さんや周りの人と接する中で認知特性は6つに分けることができるという結論を得られ著書で詳しく紹介されていました。
以下は著書からの抜粋です。
A 視覚優位者
①写真のように二次元で思考するタイプ
②空間や軸を使って三次元で考えるタイプ
B 言語優位者
③文字や文章を映像化してから思考するタイプ
④文字や文章を図式化してから思考するタイプ
C 聴覚優位者
⑤文字や文章を、耳から入れる音として情報処理するタイプ
⑥文字や音階といった、音楽的イメージを脳に入力するタイプ
本の中には、自分がどの優位感覚において優位なのかチェックできるテストもついていました。
これが、本当に目からウロコ!なのです!!
ぜひ皆さんにもやってみてほしいです!
このテストの結果と、WAIS-Ⅲ、GATBの結果を総合して見たときに「うわぁぁぁぁぁ!!!そういうことだったのかーーーーー!!!!!!」と興奮しました。
問15(思考方法)「フランシスコ・ザビエル」と聞いたとき、何を思い浮かべますか?
A.「フランシスコ・ザビエル」という文字
B.なんとなく「フランシスコ・ザビエル」のようなぼやけた人物像
C.教科書に載っていた「フランシスコ・ザビエル」の写真
D.面白い、あるいは言いづらそうな名前(響き)だな~と思った
著書医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)
私は完全にCでした。視覚優位です。
教科書に四角で囲って抜かれた、十字架のところに手を当ていて(?)、あごに変わった形の黒ひげを蓄えて、黒っぽい服を着てなで肩気味(?)、少し左斜め上を見ているザビエルさんの絵が頭に浮かびます。(今写真を見たら、その絵で十字架のペンダントは下げていないし、見上げていたのは右斜め上でした。その代り右上に十字架とイエス・キリストが描かれていました。)
「フランシスコ・ザビエル」と聞いたときに同じものをイメージするのにこんなにも色んなパターンがあるんですね!
また、「赤ちゃんが生まれたときのことをイメージしてください」という質問は有名です。聴覚優位の人は赤ちゃんの鳴き声を、視覚優位の人は赤ちゃんの泣き顔や分娩室で看護師さん達がバタバタと動いている様子などを思い浮かべるそうです。
自分の認知特性に合っていない「工夫」をしていませんか?
発達障害、とはADHD、ASDとか一言で言っても、それらはスペクトラムなので、「ADHDだから〇〇が苦手」などと言い切れません。
それは、一人一人、認知特性に違いがあるからではないかと思うのです。
例えば私は、WAIS-Ⅲ、GATBを受けてみてその数値の結果からも視覚優位・言語性優位なことが分かり、著書医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)の結果によると聴覚的な能力の部分は平均よりかなり低いことが分かりました(これは推測するに、ワーキングメモリの低さが影響しているのではないかと)。
私はメモ魔ですが、見たり、書いたり、読んだりすることが昔から得意なのです。
聴覚的な能力は低いので、耳から入った情報を頭の中に記憶しておく、という能力は壊滅的に低いです。「右から左へ」とはよく言ったものだなーと思います。
だから、聞いたことを覚えておくというのはもう諦めています。
私のノートや手帳はいつも真っ黒です。これも私の認知特性によるものです。
一方で「メモが苦手」という話をフォロワーさんのツイートで目にすることもよくあります。
ADHDのハウツー本にはほぼすべてのものに「とにかくメモを取れ!」みたいなことが書かれていることもあり、自分はメモすることが苦手……ということで悩んでいる方が意外と多いようなのです。
悩みを解決したくてその工夫を探しているはずなのに、さらに悩みを増やす……。
それって本末転倒じゃないですか?
メモが苦手な人へ
・書くのが億劫ですか?
・書いたものを見るのが億劫ですか?
・書いたものをなくしてしまいますか?
・他人が書いてくれたものなら見れますか?
・本(雑誌・漫画・書籍)などきれいにデザインされたものなら見れますか?
・本は苦手だけど漫画なら読めますか?
・漫画は苦手だけど、文章なら読めますか?
いろんな理由があると思います。
あなたに合ったメモの取り方に出会えていないだけかもしれませんよ。
ADHDのハウツー本にはほぼ例外なく「メモを取りましょう」と書かれていますし、病院やカウンセリングでもアドバイスされることが多いです
認知特性を無視してただ「メモを取れ」というのは、あまり意味のない行為だと思います。
メモを取る
「メモ」と言っても色んな取り方があります。
例えば
1.アナログで書く
・紙に書く
→ノートに書く
(横罫、方眼、無地、ドット)
→付箋に書く
→ノートパッドに書く
→メモ用紙に書く
・ホワイトボードに書く
2.パソコンやスマホを使う
・画面を直接タップして入力する
・キーボードで打ち込む
・専用のペンを使って手書きで書き込む
・音声で入力する
3.音声メモ
・音声で文字を入力する
・音声のまま記録する
これならできそう!いうものがありますか?
手書きが苦手なら、スマホやパソコンの入力に頼りましょう。
聞いたことを文章にするのが苦手なら、単語だけメモしたり、図やイラストを使いましょう。
画面に表示されるフォントが読みづらければ、スマホやパソコンでも専用のペンを使えば書き込むことができます。
【参考】スマホ用タッチペン
【参考】パソコン用ペンタブレット
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そもそも書くことが苦手なら、スマホで直接で音声入力もできますし、今はもっと精度の高いアプリも出ています。
https://itunes.apple.com/jp/app/dragon-dictation/id341446764?mt=8&uo=4&at=1001lmNt
写真に撮って残す方法もいいですね。
スキャナを使うのもいいです。
プリンターのスキャナと比べると制度は落ちますが、スマホアプリも色々ありますよ。
メモを振り返る
メモを取った後、振り返ることも考えるべきです。
メモを取ることはできるけど、どこに書いたか分からなくなる、見返すのを忘れる、見るのが億劫、という場合。
メモの取り方があなたに合っていないのかもしれません。
メモした紙をなくしてしまう場合、ペラ紙ではなく簡単にはがれない強粘着の付箋か、大きめのノートなどを利用するといいでしょう。
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いくつものノートを使い分けるより、一冊にまとめて「すべてここに書く」と決めてしまう方法も安心です。
もしくは、パソコンやスマートフォンで入力して、いつでもデータで確認できるようにしておきます。
パソコンとスマホ両方で入力も振り返りもできるようにしておけば便利です。
色んなメモの取り方
文章でまとめる・キーワードだけ書く・絵で描く・図で書く。
あなたが後で見返したときに分かりやすいのはどれですか?
私は視覚性優位で言語性優位ですが、図や絵、キーワードをちりばめながら、細かなニュアンスに注意したい場合は文章を書き加える方法が一番見返しやすいです。
会議などで図や絵をかくのが難しい場合は(周りの目が気になったり話についていけなくなる)ざっとノートに取っておいて、長く情報を残しておきたいものは後で清書する場合もあります。
清書にはかなり時間がかかって効率が悪いですが、その作業は好きですし、書き写しながら振り返ることで頭に定着しやすくなります。
メモを見ることが苦手なら、直接声や音を音声入力して、後で聞きましょう。
スマホに元々入っている音声アプリでもいいですし、Evernoteなど使いやすいアプリを使ってもいいと思います。
視覚優位の人の場合耳から入ってきた情報は定着しにくいですが、聴覚優位の人はそもそも書いたものを見たり、文章を読むよりも、音を聞くことのほうが得意です。
「忘れないためにメモを取る」という結論は同じでも、必ずしも同じ方法で行う必要はないということ。
認知特性に合わせて、自分のやりやすい方法を見つければメモを取るのも見返すのもっと楽になるかもしれませんよ。
認知特性別のメモの取り方・見返し方
本田真美さんの著書医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)の6つの分類に従って考えると、例えばこんな方法も考えられます。
A 視覚優位者
①写真のように二次元で思考するタイプ
→写真に撮って残す・イラストや図を描いてメモする・その時内容とは別に印象に残ったものを絵やキーワードとして一緒に書き添えておく。アルバムやスクラップブックをめくって思い出を振り返るように思い出す。
②空間や軸を使って三次元で考えるタイプ
→動画に撮って残す・図を使って矢印を引っ張るなどしてメモする・メモを見てその時のことが思い浮かぶようなその時に感じたことなどを(色・香りなど)一緒に書き加えておく。DVDや動画で映像を振り返るようにイメージを頼りに思い出す。
B 言語優位者
③文字や文章を映像化してから思考するタイプ
→キーワードや文章として残す・その時内容とは別に印象に残ったものや感じた色などをキーワードとして一緒に書き添えておく・イメージを膨らませながらメモを見返す
④文字や文章を図式化してから思考するタイプ
→キーワードや文章とともに・図や矢印を使って整理しながらメモを取る・撮ったメモを図やキーワードを使って清書(整理)しながら振り返る
C 聴覚優位者
⑤文字や文章を、耳から入れる音として情報処理するタイプ
→ボイスレコーダーや録音アプリを使って音声メモを残す・とったメモを音読しながら振り返る・誰かに読み上げてもらって振り返る
⑥文字や音階といった、音楽的イメージを脳に入力するタイプ
→ボイスレコーダーや録音アプリを使って音声メモを残す・メモを取るときに聞こえてきた音や感じた印象も一緒にメモしておく・音楽やラジオなどを聴きながらメモを取る・誰かに読み上げてもらって振り返る
ちなみに私は視覚優位者で、写真のように二次元で思考するタイプの特徴と、言語優位者で文字や文章を映像化してから思考するタイプの特徴を併せ持っているので、
・写真に撮って残す(カメラロールには34000枚以上の写真が入っています)
・イラストや図を描いてメモする(会議中にラクガキするなと注意を受けたことがあります)
・その時内容とは別に印象に残ったものを絵やキーワードとして、感じた色や香りなどを一緒に書き添えておく
・キーワードや文章で残す
・メモを見返しながらその時のことを思い出してイメージを膨らませる
という方法を取っています。
写真や映像はスマホで残しますが、文字はアナログで残すことが多いです。
私はノートのページをぼんやりとですが写真のように記憶しているので、アナログのほうが自由度が高くイメージや図、イラストを自由なレイアウトで書き添えやすいからです。
こんな風にメモを取っています、こんな方法もあります、というものがあればブログのコメントやTwitterへのリプライでぜひ教えてくださいね(^^)