まいにちADHD

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アラサーADHD当事者のサイトです。 当事者だからこそ分かる、あるあるネタ、困り事、生活上の工夫を更新しています。発達凸凹だけど、自分を知って凹も凸も大事にしていきたい。

WAIS-Ⅲの結果を受けてADHDの自分について掘り下げて考えてみた

2016年10月24日。

私はAD/HDの診断を受けました。

 

その時に医師から見せてもらったのが、WAIS-Ⅲの結果です。

同じく発達障害(特にADHD)で困っている、悩んでいる、情報を集めている方の参考になればと思い、私のデータを公開します。

 

 

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発達障害について独学で少しかじった程度の知識しか持っていない私には、パッと見た感じ「全検査IQを見ると私はどうやら平均的らしい」「その他は少し高かったり少し低かったりするなぁ」ということしか分かりませんでした。

 

WAIS-ⅲ(心理検査)の結果(画像あり)

もう少し詳しく見ていきます。

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【IQ】
言語性IQ……105
動作性IQ……98
全検査I……102

【群指数】
言語理解……107
知覚統合……95
作動記憶……94
処理速度……127

 

※平均は100、85~115が平均の範囲(全体の7割が入る)

※数値は同世代平均を基準をとしたもの

※画像の(    )内の数字は検査を仮に100回した場合、90回はこの数値の範囲に入るだろうという意味。誤差の振れ幅を教えてくれるもの。

 

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【言語性検査】

単語……9

類似……13

知識……12

理解……12

算数……10

数唱……9

語音整列……8

 

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 【動作性検査】

絵画配列……8

絵画完成……10

積木模様……8

行列推理……10

符号……13

記号探し……17

組合せ……7

 

※平均は10、7~13が平均の範囲

※数値は同世代平均を基準としたもの

 

結果を見て私が一番に思ったのが「なんだ。私って意外とフツー」でした。(実はそうではないと後から聞かされる)

普通であればあるほどグラフは「10」のところに近づいて一直線になると思っていたので、普通の人とtyっとずれているなと感じる自分の場合、グラフはきっとMの字を描くように大きなギザギザになっているはずと思っていました。

このグラフを見た限りでは一部突出したところはあってもその他は比較的平均的だし、発達障害とは言えないと言われるに違いないと思っていたら、意外。

「Chikarinさんが今困っている事、苦手だと思っていることが結果に顕著に表れている」「特に処理速度と作動記憶、知覚統合との差が激しい最大で32の差があり、これは日常生活で困難を引き起こすレベルである」

と言われました。

WAIS-ⅢとSCTのまとめ詳細

まずは、病院でもらった「WAIS-ⅢとSCTのまとめ」 の内容について。

 A4用紙で1枚の文章にまとめられていましたが、今回はその中から抜き出して箇条書きで掲載します。

できるだけ紙に書いてある表現をそのまま使うようにしています。

 

  • 全体的に見て知的能力は年齢相応
  • 群指数をみるといくつかバラツキがあり、得意なことと不得意なことにギャップがある
  • 得意なこと→「情報処理のスピードが非常に速い(書き写しや、形を識別してしるしを入れるなどが素早く正確にできる)」「学校で学んだことから知識や習慣を身に着ける力もあり、授業を理解したり板書したりすること」
  • 苦手なこと→「目で見た部分的な情報からつながりを推測したり、まとめたりすること」「聞いた情報を一時的に覚えつつ、頭の中だけで処理すること」ただし平均の範囲内
  • 決まった手順方法で行う反復作業は正確にたくさんこなせる
  • もっている知識をうまく活用することができる
  • 一方で、状況に応じて「適度に」「適切に」「必要な分だけ」選んで実行することが苦手
  • ユニークで豊かな感受性があり、クリエイティブである
  • 新しい場を開拓するときの不安は少なめだが、見通しや手掛かりのない状況であると不安を抱きやすい
  • 頭ではわかっていても、その場ではとっさに行動してしまいやすい。失敗に対し「またやってしまった…」と気づく力はあるが、反応の早さゆえに他社とのペースにズレが生じている→過去の失敗体験などが重なって自己肯定感が低い。対人関係で常に気を張っており、どうにかしようとするあまりさらにズレが大きくなっている
  • 現状にたいしてやや窮屈に感じているが「よりよく」を目指して成長したいという思いが強いため、今できていることやこれまで乗り越えてきたことに気が付きにくくなっている
  • 歌や絵など芸術的な表現が私らしさを支えており、他者とのコミュニケーションを助けてくれる
 【総まとめ】
  • 得意なこと・好きなものを大切にしながら、それを生かして困りごとへ対処や工夫を考えていくことで生活しやすくなるだろう
  • 工夫例→「口頭でやり取りする際は頭の中だけで考えるのではなく、メモを見たり資料を積極的に活用する」「あいまいな情報や不明点は言葉でしっかり確認する」「考えた内容をすぐ発するのではなくて一息ついて考えることを意識する」「下書きや練習をする」

 

以上が「まとめ」に書かれていた主な内容です。

 

さらに掘り下げて考えてみた

病院では詳しく聞けなかったので、今回(2016年12月1日)以前からお世話になっているカウンセリングの先生に相談しました。

 

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よく言われる「言語性IQ」と「動作性IQ」にびっくりするような差はありませんでした。

しかし、もう少し細かく見ると、私の場合「群指数」の処理速度と作動記憶の数値の差が最も大きな差があり「32」となっています。

平均は100で、標準偏差は85~115(受験者の66%はこの中に納まる)です。

最も低い数値の作動記憶の94も「平均よりやや低い」が、標準偏差内に納まっています。

でも、問題は平均より上か下かではなくて、その差がどれくらいあるか。

「32」は差が大きく、得意不得意がはっきりしており発達に凸凹がある、と言えるそうです。

 

もう少し細かく見ていきましょう。

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この2つのグラフは、提携発達の人(健常な人)の場合、7~13ポイントの平均誤差範囲の中でジグザグが収まるのだそうです。

数値の高いところと低いところの差が、5~6ポイント開きがあれば開きが気になるといえるらしい。

私は記号探しと組み合わせの間に10の差が出ています。

私のグラフの場合、言語性検査はほぼ平均の範囲内ですが、動作性検査に得意不得意がはっきり表れています。

処理スピードが速い反面、推測したり頭の中のイメージを言葉にすることが苦手なので、一部の情報のみで判断して早とちりや細かいことがおろそかになり指摘されたり、もどかしさを感じたりすることもある。結果他の人とズレてしまう。

これが私が生きづらい一番大きな要因になっていること。

 

発達障害は、IQの高い低いだけで図るものではありません。

IQが平均より高く推移していても、平均で推移していても、低く推移していても、発達に凸凹があり得意不得意の差が大きいとズレが生じて、生きていく上で色んな障害を感じてしまうのです。

 

ちなみに知的障害があるかどうかの判断は、知能指数(IQ)70以下が基準となり軽度から最重度まで4段階に分けられます。

 

言語性IQについて……
・知識 ― 今までの経験や学習活動で得た知識の量を測る検査
・類似 ― 2つ以上の事柄の間にある、本質的な類似性に気づけるかどうかを測る検査
・単語 ― 被験者の語彙の豊富さと理解度を測る検査
・理解 ― 一般常識や日常生活についての知識、理解度を測る検査
・算数 ― 計算問題を解き、算数の基礎の理解を測る検査
・数唱 ― 検査者が唱える数字列を記憶し、指示に従って数字を答える検査
     読まれた順に答える順唱と読まれた順番と逆の順場で答える逆唱がある
・語音整列 ― 口頭で伝えられる数と文字の組み合わせを指示通りに並べ替えて答える検査

WAIS・WISCとは?ウェクスラー式知能検査の特徴、種類、受診方法、活用方法のまとめ | LITALICO(りたりこ)発達ナビより抜粋

 

動作性IQについて……

・絵画完成 ― 未完成の絵画を提示し、その絵画に欠如している部分を指摘させる検査
・絵画配列 ― 共通の特徴を持つ絵を、グループになるように選ばせる検査
・積木模様 ― 見本に示された模様を、積み木を組み合わせて作らせる検査
・記号探し ― 左側の記号が右側の記号グループの中にあるかどうかを時間内にできるだけ多く判断させる検査
・符号 ― 記号もしくは図形とセットになっている数字を素早く記憶して、記号に合う数字をどんどん書き込んでいくテスト検査
・行列推理 ― 複数の絵の中から法則性を見つけ、適切な絵を選択肢から選ぶ検査
・組み合わせ ― 与えられた複数の紙片を組み合わせて、形や模様を作り出す検査

WAIS・WISCとは?ウェクスラー式知能検査の特徴、種類、受診方法、活用方法のまとめ | LITALICO(りたりこ)発達ナビより抜粋

 

 

 例えば、「言語性検査」では、「類似」「知識」「理解」は平均より高い数値が出ています。(「単語」は少し低め)

このことから年齢相応の知識は持ち合わせているけれど、その知識やイメージを言葉にして説明するのは苦手ということが分かります。

 

一方で、「数唱」「語音整列」は少し低めです。

「算数」「数唱」「語音整列」の3つは「作動記憶(ワーキングメモリ)」を表しているので、この値が低いということは、耳で聞いた情報を正確に取り込力、覚えておく力が弱いということなのです。

論理的に考えたり、ロジックを組み立てるのが苦手な傾向。

 

「動作性検査」では、「記号探し」がズバ抜けていて、「符号」も高い数値が出ています。これは処理速度の速さに直結しています。

一方で「組合せ」「絵画配列」「積み木模様」は平均を下回っています。

「絵画配列」が弱いのは、流れを捉える力が弱いことを表しています。

そして、 「組合せ」は、何ができるかわからないけどここにある材料で作って下さい、というテストの方法で、形が明示されていないものを作らなければなりません。

「積み木模様」は完成系は分かっていて同じ模様を作りなさい、というテストです。

積み木模様がある程度出来ていて、絵画配列が出来ていないようなら、先がみえない時不安を感じるタイプの人かな、と推測されるそうです。

私の場合は差はあまりないものの、「組合せ」が低いので見通しをつける力が弱く不安になることがありそう。

 

カウンセリングの先生と今後の対策について考えた

主にWAIS-Ⅲのグラフからですが、主治医の「まとめ」にあるSCTの結果も考慮しつつ、今ある情報をもとにカウンセリングの先生と私の特性にあう対策を考えました。

 

  • 構造的なものならある程度複雑なものでも得意だから、プログラミングのイメージで、「こういう時はこうする」というパターンをひたすら書き出して分析し、シュミレーションしておく。もしくは繰り返し練習して体に叩き込む。→例えば、「水を飲んだらそのコップからついでに部屋の植木に水をやる」「はじめまして、Chikarin!と申します。と言ってお辞儀をしてから、名刺を相手に名前が読めるような方向で差し出す。名刺は胸の高さに持つ」など。
  • 曖昧なものを処理するこや、自分で物事を組み立てること、考慮すべきことが沢山あってそれぞれが「Aの時でもBかもしれないしCかもしれない」などと明確になっていないものが苦手。→「察する」ということは苦手でズレが生じやすいのではっきり言葉にしてもらったり図解して説明してもらうと良い
  • たいていの人は曖昧な情報のまま受け取ってもなんとなく相手の言いたいことがピンとくるが、私には難しいので「察する」ことは諦めて、ほかの人と違うやり方で物事達成するほうが良い
  • 「話す」と「考える」が同時に出来にくい。おしゃべりしながら「次はどうするべきか」を考えるのが苦手なので、考える時間をもらって集中して物事を組み立てる方が良い
  • 文字情報をそのまま頭に入れるのは苦手。マーカーで線を引いて色をつけたり、ブロック図や絵を描いて図的に理解するほうが良い。学生時代板書が好きだったりしたことも無意識に自分で工夫していた結果である→プログラミングのイメージで組み立てよ
  • 言語情報を一旦、視覚情報に置き換えて考えるほうが私にあっている。また、自分にだけなんとなくわかっているようなイメージを言葉にして伝えるのに時間がかかるタイプ。「こそあど言葉」が多かったり「えーっと」「あのー」が多かったりするのはそのせい
  • 指示は可能なら口頭ではなく紙にしてもらう
  • 資料や原稿的なものは少しでも早くもらって、図に起こしたり工夫して頭に叩き込む
  • アイディアが湧きやすく発想力があるので、ほかの人が思いつかないようなことを思いつける。それを「突飛なアイディア」でなく周りの人に理解してもらえるようなアイディアとして出すために、現実的にできるように調整して発表できれば、クリエイティブな感性が活かされるかもしれない。→「KJ法」という発想法を調べて試してみると良い
  • ワーキングメモリが低いので、読んだり聞いたりしながら頭の中で組み立てて実行していくことは苦手。二つのことを同時に並行できない。覚えていられない。→メモをとる、一旦引き取って、考える時間を別にとる

 

このように具体的に色々と教えてもらいました。

これはあくまで私の傾向から考えられる私への対策と工夫で、これから自分に本当に合うかどうか試して行く段階のものです。

やってみたらまた他の工夫の方があう、ということもあるかもしれません。

それでも、察することが苦手で見通しがつかないことをとても不安に感じる私にとって、こうやってはっきり言葉にして教えてもらえることで随分スッキリしました。

 

これで他人に説明を求められた時に説明しやすくなりました。

そして、私は苦手な部分は訓練しても普通の人と同じようにできるようにはならない。

そこで努力するよりは別の工夫を見つけて苦手を他の人に迷惑をかけたり致命的なことにならないように落ち着けつつ、長所を伸ばして得意なことで不得意をカバーしていくことに時間を割くべき!と思えるようになり始めました。

 

いい意味で「だってできないんだもの」と割り切ることも大切なのだと思えました。

いい意味でできないと割り切るというのはつまりこういうこと。

 

割り切るのは簡単な事じゃないけど、「私は算数が苦手で計算もしょっちゅう間違えるなぁ……」と自分の中でもやもやしているよりも病院で診断を受けたり、カウンセラーや親や友達に相談して「あなたは算数が苦手です。頭の中だけで暗算をするのはミスを産むだけですから、電卓を使いなさい。電卓がないなら紙に書いて目で確認しながら計算しなさい。そして、提出する前に必ず誰かにチェックしてもらいなさい」と言ってもらった方が、スッキリするし自分を受け入れる第一歩になりますよ( ^^ )

 

 

発達障害があってもなくても、「私」は「私」で何も変わらない。

今も昔もこれからも発達障害とともに生きていくのです。

 

 ご意見・ご感想お待ちしています。