まいにちADHD

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アラサーADHD当事者のサイトです。 当事者だからこそ分かる、あるあるネタ、困り事、生活上の工夫を更新しています。発達凸凹だけど、自分を知って凹も凸も大事にしていきたい。

大人のADHD診断のハードルは想像以上に高いのかもしれない

今日TLを見ていたらこんなツイートが流れてきました。



私は今自称ADHD状態なのですが、診断までのハードルの高さを感じています。
現状を振り返ってみます。


そもそも自分でADHDを疑ったのが大学生の時


一冊の本がキッカケでした。

片づけられない私をみつめて (デザートコミックス)

漫画家のしみず宇海さんの「片付けられない私を見つめて」という本を読んで衝撃を受けました。

これ私のこと!!!

本がキッカケになってADHDを疑い始めたという方は多いですが、私もその1人でした。

部屋は足の踏み場がなく、食べた後のカップ麺の空や、飲みかけのペットボトル、食べかけの食事がのった皿がそのまま机の上や床の上に放置されていて、流しは常にぬるぬるのカビだらけ、夏になると部屋にはたくさんのコバエが飛んでいました。

大学の提出物の期日が守れず単位を落とし、バイトでは遅刻の常習犯、友達から借りたものや預かったものを無くすわ、お金の管理ができないわ、ダメ男にひっかかった5年間、モラハラに苦しみ続けた日々。

そんな散々な生活に本気で悩んでいても一向に改善できない。
どうにかしたいと思ってもその方法がわからずただ立ち尽くす日々。
自分では明らかに普通じゃないと思いました。
しかし親や当時の彼に話しても、「発達障害?そんなわけない」「怠ける言い訳にするな」と言われ取り合ってもらえず、受診は諦めていました。


社会人になって限界を感じてカウンセリングを受診


そのまま何も改善することなく社会人になり、それでもなぜか「やればできる」「私には可能性がある」と根拠のない変な自信に満ち溢れていました。
しかし、1年が過ぎ、3年が過ぎ、職場が変わりさらに1年、2年と経っていくとだんだんズレを感じ始めました。

やっぱり私おかしいかも……

何とか周りに馴染もう、うまくやろうとしてきましたが、どんなに頑張っても噛み合わず、失敗ばかりの空回り。
先輩たちからは呆れられ、そろそろクビを言い渡されるんじゃないかと毎日怯えて過ごす日々。



そのうち、道を歩いていて緑が青々と茂っているだけで「ああ、草でもこんなに美しく生きているのに私はなんてダメなやつなんだ」と思うようになり、突然動悸が襲ってきて涙が溢れ、過呼吸になりそうになったりしました。

これはもう限界かも……そう思い、そのまま市内のカウンセリングルームに電話しました。
何件か電話し、話した時の印象で今の先生に決めました。

病院の受診は積極的には進めていないと言われる


カウンセリングに通い始めたのは昨年の10月。
始めからADHDのことをいって、また「違う」とか「言い訳だ」とか言われたら立ち直れないと思ったので、様子を見て打ち明けたのは冬になってからでした。

先生の答えは……

ADHDの傾向が強いといえるでしょう」

医者ではないので断定できないということと、当心療所では受診は積極的には進めていない、ということを告げられました。

ADHDは病気ではないので治るものではない。
特性とうまく付き合っていくほうがいいと思っている。

という答えでした。
先生の言うことに納得できたので、それ以来ADHDの話はカウンセリングでしませんでした。

この時点で、ADHDを疑い始めてから9年
カウンセリング受診から5ヶ月が経っていました。

やっぱり白黒はっきりさせたい

5月。
年度が変わって、職場に新しい人が入ってきたり、重要なポジションを任されたりして、いよいようまく回らなくなってきました……。

大きな失敗も続き、カウンセリングの先生に、もう一度病院を受診してADHDの診断をしてもらうことについてどう思われますか?と相談しました。

すると、「Chikarin!さんの場合、病院を受診してはっきり診断を受けるほうがスッキリされるかもしれませんね」と言ってもらったのです。


ここまで診てもらって、私が白黒つけないと落ち着かないというを感じられたみたいです。


5月のカウンセリングにいく前のタイミングで、会社の一部メンバーにカミングアウトしていたので、






そのメンバーたちへの説明も、ADHDについて病院で診断してもらうことでスムースになると考えました。

白黒はっきりさせてスッキリするため、ADHDについて周りに説明するために病院にさっそく予約の電話を入れました。

ここからがまた長い道のり

カウンセリングの先生に勧められた病院に電話をしたところとんでもない事実が分かりました……


受診するまでに3ヶ月……。


病院によると、初診の患者さんを受け入れる人数が先生ごとに一日何人と決まっているということです。 

さらに、受診できてからも長いのです。


結局私は予約の電話から診断まで、半年以上はかかりそうです。


これは長い……

ADHDかも…と疑い始めてから、10年近くかかりそうということです。


社会に馴染めなくて、ズレを感じて、生きづらくて、その状態で10年はあまりに長く辛い道のりです。


まだADHDとの診断が降りたわけではないので、診断の日までずっとモヤモヤした気持ちが続くでしょう。

大学の時親や彼に違うと言われても、自分の判断で白黒つけていればここまで長引くこともなかったでしょう。


疑問に思ってすぐに受診されて診断を受けた方もたくさんいらっしゃるでしょう。

でも私のように未診断のままのひともたくさんたくさんいるのです。


成人ADHD診断面接に基づいた診断で、DSM-IV-TRの基準によれば患者の15.8%(95%信頼区間14.2%-17.4%)が、DSM-5の基準によれば17.4%(95%信頼区間15.7%-19.0%)が、ADHDと診断された。

大人のADHDはどれぐらい多いのか? - MEDLEYニュースより引用


このデータによると、精神科外来を受診していた人で、15.7%〜17.4%の人がADHDと診断されているということになるのです。

これは100人のうち15〜17人という割合です。

ヨーロッパでの計算なので日本にも当てはまるとは言えませんが(日本では100人に2から3人ほどというデータが多いようです)、症状で困っている人は思っている以上にたくさんいそうです。


しかもこれは、精神科外来を受診した人の中での割合。

すると未受診だけど困っている、という私のような人を加えると……?

本当はもっと多いのかもしれません。


診断されるまでのハードルとは?


周囲による否定
私もそうでしたが周りから「あなたが発達障害なんてそんなわけない」と言われたことで、受診を検討するのをやめてしまうことがあります。
私は、親や彼に言った時、できないことや怠けをADHDのせいにして逃げようとしていると見られた過去があります。

受診に関するマイナスな印象

診断を受けるには専門の病院にいく必要がありますが、精神科だったりするので、抵抗感がある人も多いと思います。

私はこの点においては、抵抗感よりも白黒つけたいほうが勝っているのでさほど大きな問題ではありません。


大人の発達障害を診てくれる病院は限られている

都道府県に発達障害専門の病院を紹介してくれる機関がありますが、その病院は限られていて、自宅から病院までが遠いことも多々あります。

学生時代調べた時は、病院までが遠く、お金も時間もかかることなので諦めてしまいました。


世の中の理解不足

発達障害は最近でこそメディアなどでよく取り上げられるようになってきましたが、まだまだ世の中の理解度は低いです。

重要なのは認知度よりも理解度です。

診断を受けても理解してもらえるとは限りません。

むしろ、「障害者」というレッテルを貼られてしまい、さらに生きづらくなるかもしれません。


受診から診断までが長い

病院によるようですが、私が予約した病院では安易に診断を下さない方針だそうです。

親からも子ども時代の様子をしっかりヒアリングして、テストの結果や日常生活でのこまり具合などを総合的にみて慎重に判断されるそうです。

それで、予約の電話から診断まで半年はかかりそうです。

それまでの費用、時間を考えるとしんどいものがあります。


その上私は、カウンセリングの先生からは「Chikarin!さんは会社をクビになるとかもなく、社会でなんとかやれているので、診断がつかないかもしれません」と言われています。


時間やお金をかけて、診断がつかない、ということも十分考えられるのです。

これはとても辛いことです。


診断がついても状況が改善するとは限らない

これはカウンセリングの先生に言われたことなのですが、診断がついたからといって状況が改善する可能性は低いということです。

「普通の人が当たり前にできることができない」という事実は変わりません。


薬を処方してもらえればある程度は特性が抑えられるかもしれないということは当事者にとって大きな魅力です。

ただ、それすらも打ち砕かれそうなことが最近ありました。


成人を過ぎてからADHDの診断を受けても薬は処方されない可能性が高いという話を耳にしてしまったのです。

つまり私はADHDだと診断されたとしても薬を処方してもらえないかもしれないのです。

すると、認知行動療法の助けを借りて頑張っていくしかありません。


※成人を過ぎて診断されても薬を処方されている方もたくさんいらっしゃるみたいです。

実際、私のツイートにリプライしてくださった方はたくさんいましたが、みなさんすぐに診断され薬を処方されたという方でした。

二週間ほどで薬を処方されたという方や、受診当日にADHDと診断されたという方もいました。


ADHDでもADHDでなくてもやるべきことはそんなに大きく変わらない

現状で周りに迷惑をかけてしまっていたり、自分で改善が必要だと思っているなら、変えていかなければならないことに変わりはありません。

例えADHDでないという診断が降りても、傾向があることを理解して、試行錯誤しながら人に迷惑をかけない程度に落ち着かせなければなりません。

そうしないと生きづらいからです。


今まで悩み困ってきたなら、それがADHDの特性のためであり、「できるのに怠けていた」や「ただだらしがないだけ」というわけではなかった、と自分自身で知れてホッとできるというのが一番の効果だと私は思っています。


未診断でADHDを疑いをSNSで発信することについて

池田ラスカル (@rasukarurun) | Twitterさんが言われているように、大人の発達障害は診断されるまでのハードルが高いと私は今ひしひしと感じています。

それゆえに、診断を受けぬままADHD疑いとSNSで発信して、叩かれている人を何人も見てきました。
私自身今はADHD疑いの状態なので、診断済みの方からすれば「疑いの段階でADHDかもしれない。誰か助けてー!なんていうんじゃない。本当に診断を受けた人間のことも考えてくれ」とお怒りの方もいらっしゃるかもしれません。

ただだらしなく過ごしているだけの人が困った困ったと言っているのと一緒にしてくれるなという思いは理解できます。

ただ、ADHDADHDでないかは本当にそこまで大きな問題なのでしょうか?

これは私の考えですが、先に述べたように、ADHDであるかそうでないかは私はさほど大きな問題ではないと思っています。

もちろん、ADHDの人にはその特性に応じた支援や工夫が必要です。
しかし、ADHDでなくても、困っているなら支援や工夫が必要ということに変わりはないのです。

反対意見を覚悟して言いますが、もし、ADHDの特性に対する工夫でその人が生きやすくなるなら、どんどん参考にしていけばいいし、同じ傾向(あえて「特性」ではなく「傾向」という言葉を使います)があって同じ悩みを持つなら、どんどんADHD疑いを名乗ればいいと思うのです。


確かにハードルは高い。でも乗り越えれば新しい道が見えるかもしれない


メンタルクリニックなどに通っても見過ごされたり、クリニックやカウンセリングに通ったことのない人がいきなりADHDについて受診を考えたいと思った時にどうすればいいのか分からなかったり、ハードルが高い中、未診断の状態が続くのも無理はありません。

以前の私のように受診を悩んでいる方も、たくさんいらっしゃると思います。

もし、死にたいと考えてしまうほど困っている、今の状況を改善したいけど自分1人の力では無理かもしれない、と悩んでいるなら、ハードルの高さを乗り越えてでも受診の覚悟を決めるのも良いかもしれません。
実体験からそう思っています。
もちろん、受診しないと決めるのも一つの選択肢ですよ(^^)


ハードルを乗り越えた先に新しい道が見えるかもしれない。
その希望を抱いて、私はハードルを乗り越えてみたいと思うのです。

もし、乗り越えられなくても、乗り越えようとした過程は何かの糧になると信じて。


私は9月にADHD疑いて病院を初受診することが決まっています。
診断まではそこからさらに数ヶ月かかります。
その過程はこのブログで公表していこうと思います。

どんな結果になるのか、ADHD/ADDかもしれないと悩む方の参考になればと思います。

長文ご拝読ありがとうございます。


今回の「大人のADHDの診断のハードルは想像以上に高いのかもしれない」について考えるきっかけになった、池田ラスカルさんのブログはこちらです。


主に発達障害についてご自身の体験を元にいろんな記事を書かれています。