まいにちADHD

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アラサーADHD当事者のサイトです。 当事者だからこそ分かる、あるあるネタ、困り事、生活上の工夫を更新しています。発達凸凹だけど、自分を知って凹も凸も大事にしていきたい。

発達障害を会社のメンバーにカミングアウトして(3)

今週頭に、発達障害を会社のメンバーにカミングアウトしてきました。

 

chikarinadhd.hatenablog.com

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今回の記事では、やっとカミングアウト当日の様子を書いていきたいと思います。
 
今回の私の経験が、同じく悩んでいる方の参考になればと思います。



プロジェクトのメンバーA子とD子に集まってもらった

プロジェクトメンバーとして一番近くで関わってくれている2人に予定を聞き、一週間後の日程で時間を取ってもらいました。

会社の会議室を借り、資料をまとめて持って行きました。

資料があってよかった

実はこの日を迎えるまでにカウンセリングの先生にも相談しました。

困ったことを小出しにして少しずつ伝えてきたけれど、いいないことがなかなかまとまらなくてうまく伝えられない、という話をして、当日は紙にまとめていこうと思う、と伝えると、先生は「いいアイデアですね」と賛成してくれました。

ADHDの人は話が飛びやすい傾向にあります。
話している最中に、アレも言わなきゃ!とかこっちの言い方のほうが伝わるかな?とかこのエピソードもいい例になるかもしれないなどと、頭の中でアイデアがぽこぽこ浮かんできて邪魔をします。

「結局何を言いたかったんだっけ?」と半泣きになったことが私は何度もあります。

それを防ぐために、メモや資料があるといいかなと思って作っていったのですが、あってよかったです。


何度も「ごめん。わかんなくなっちゃった」と繰り返した
正直、カミングアウトはぐちゃぐちゃでした。

伝えたいこと、説明したいことはたくさんあるはずなのに、頭の中がぐちゃぐちゃになってうまく言えない。

ADHDとは何か」「今カウンセリングに通っていること」など、事実を説明しているときはまだよかったんです。

でも、自分がどんな時に困っているのか、どんなことが苦手なのか、どういう風にサポートしてもらったらやりやすいのか、という肝心な話になると全然ダメでした。

支離滅裂もいいところです。

一応いくつかは箇条書きにして書いていっていました。


ここまできたらもう「ごめん。わかんなくなっちゃった。私の言っていること分かりますか?分かりにくくてごめんなさい。」と謝り、質問をしてもらったり、会社での私の行動で気になったところがあれば教えてもらえないか尋ねました。

話の主導権を向こうに渡してしまうようにしたのです。

そうだ!私は話の主導権を握るのが苦手なのだ!!!
(↑書いていて気付いた!)


これでずいぶん楽になりました。


質問に答えてるうちに見えてきた
「どんな時に困ったり戸惑ったりしますか?」
と聞かれたので、例をあげて答えようとしたんですが、うまく言えない。

計6枚の資料を用意して行って、困っていることも例に挙げていたのですが、いざ話そうとするとなんか違う気がする



なんのために資料を作って行ったのか、ですが。
わたし自身もそう思ってたくらいですから、多分二人は内心イライラしてたでしょう。
そんなそぶりは見せずに聞いてくれました。本当にありがとう。

資料を無視してやっとひねり出したのが
「例えば、お昼ご飯の時に今日は蕎麦にするか寿司にするかっていう話になったとしますよね。今日は暑いし、蕎麦屋が近いから蕎麦屋もいいですね。でも、食べる量が調節できる寿司屋もいいですね、ってなった時、蕎麦屋にしましょうか、って振って、はい、って言われても本当はお寿司が良かったけど合わせてくれたのかな。申し訳ないなって思います」
っていう話でした。

なんやそれ。
確かにこれもそうなんですけど、一番言わなきゃいけないのは絶対コレジャナイ感。

もう心はボロボロです。

集まってもらっておいて話もまともにできない自分、気合い入れて作ったのに重要なポイントで全く役に立たない紙くず同然の資料、あの…とか、その…とか全くコミュニケーションにならない言葉、クーラーが効いた室内なのに変な緊張で額からダラダラ流れ続ける汗。


初めからやり直したいとか思いながら、隠しても仕方ないので、ありのままを伝えることにしました。

「本当にごめんなさい。資料を作ってきたのに肝心なところで役に立たなくて。うまく言えなくて。昔からこうなんです。優先順位がわからない。段取りが組めない。全体を見れない。これで何度も何度も失敗してきました。わかりやすく説明したいのにできない。準備してきたつもりなのに詰めが甘い。いつも時間はギリギリ。いつもバタバタしてごめんなさい。」

今の想いはやはり謝罪です。
そして、話してるうちにコレだ!感が出てきたので「優先順位が分からない」にスポットを当てて話してみることにしました。


「優先順位が分からなくて、部屋も鞄もいつも荷物が多くてぐちゃぐちゃなんです。頭の中もいつもいっぱいでぐちゃぐちゃで。話もまとまらなくて前後もぐちゃぐちゃになるんです」


そして、いつもよく使うものの場所を決めるということもなかなかうまくいかないこと(鍵や財布など)、タスクが幾つかあるとどれを先にやるべきか分からなかったり、どの程度までやり込めばいいのか分からず、期限に間に合わなかったり資料に過不足が出たりすること、などを続けて説明しました。

すると、ピンとくるものがあったらしく、2人は今までのあの行動はそういう意味だったんですね、と少し理解してもらえたようでした。


相手も「私」がわからない

話の中で分かったことがあります。
それは、相手も私が分からないということ。

私は、「どうすればみんなみたいに普通に仕事ができたり普通に人と会話ができるのか」分かりません。

なぜみんなには簡単にできるのか。
毎日朝早くから夜遅くまで仕事をしてくたくたになって帰って、なぜもご飯作ってお風呂に入って、プロジェクトの資料を作って、スキンケアもして、趣味の時間もちゃんととって、部屋が散らからずに、翌日会社に遅刻せずに行けるのか。

自分ができないから、いくら考えても現実味がわきません。
でもみんなにとっては、程度に差はあれどもそれくらいちょっと意識して時間を逆算したり気を引き締めて段取りよくやればできることだったりします。


「なぜできるのか」私に分からなければ、「なぜできないのか」みんなには分からないのです。

相手にも私が分からなかったんだなと気づきました。


今まで言わなかったところを言うしかない
だったら、今まで言わなかった本音の部分を出すしかない。
せっかくの機会なので、自分のことについて話させてもらうことにしました。


・子どものころからおとなしく座って授業が受けられなかったこと。未だに会議などの場では髪をいじったり、手を動かしたりが止められないこと。

・上司BさんやA子を傷つけてしまったように、気がつかずに衝動的に発言をして他人を傷つけてしまうことがあること。

・優先順位がつけられず、時間の管理が下手で、定時は5時なのに夜遅くまで仕事が終わらないこと。

・いつも何か忘れてるんじゃないかと不安でソワソワしているのに、結局何かを忘れてしまうこと。

・仕事がなかなか終わらなくて、タスクを書いた付箋が外せず、手帳がいつもパンパンなこと。


いろんなエピソードを話しました。

その度に「一つ一つ確実に終わらせて、途中で何かを挟まない工夫をしてみては?」とか「口に出す前一呼吸おいて考えてみることはできないんですか?」とか言われるのが苦しかった。


そんなことは言われなくても分かってる。

じゃあなんでやらないの?って言われそうだけど、やろうとしてもうまくできないのです。

言い訳と取られても仕方がないな、と思っていつもはこの言葉は引っ込めるのですが、今回は言いました。

「子どもの頃からなんどもなんども注意されて、その度に次こそは気をつけようと思うの。そして、トライするの。でもできないの。今まで30年近く生きてきて、なんどもなんども壁にぶつかった。うまくやりたい。できる人と思われたい。他人に笑顔になってもらいたい。すごいねって、言われたい。頑張ったねって褒めてもらいたい。失敗するのは嫌だ。だからなんどもなんども次こそはって思って、仕事も休みの日も会社に来たり、よくないって思いながら夜遅くまで残ったり。やるぞ!って思って何時間もかけて準備したのにできない。努力が足りないと思って次はもっと時間をかけてやったのに、空回ってもっとできない。迷惑かけて申し訳なくて、次こそ絶対うまくやるぞ!って思ってもまたできない。やりたいのに、できない。やりたいのに、できない。やりたいのに。なんで?やりたいのに。どうして?迷惑かけてるって分かってる。私なんて辞めた方がいいって思ってる。でもずつと憧れてきた仕事で、辞めますっていう勇気さえない。できないけど、それでもやりたい。ちゃんとやりたいの。やるからにはしっかり結果を出したい。でもできない。自分が情けなくて、悔しくて、こんな自分に腹がたつ。」

一気に吐き出すように言いました。

実はこれ、昔いっぱいいっぱいになった時に、先輩に話した内容とほぼ同じです。
その時言われたことが

「もう二度とない「できない」とか「努力します」とか「やっていきます」とか言わないで!やるの!選択肢は「やる」しかないんだから。結果が全てなの、この世界は!」

でした。
それ以来、私は今まで以上に「苦手です」とか「助けてください」が言えなくなった。


苦しかった。

長女で、「しっかりしてるね」「流石お姉ちゃんだね。すごいね」と言われて育ってきた私は、もともと他人に頼ったり甘えたりするのが苦手だった。

さらに輪をかけられて、私は完全に死んでしまったようでした。


もうどうにでもなれ!

他人を責めるつもりはないし、自分の選択の結果だとは思っています。

ただ、弱みや悩みを誰にも言えないのは孤独です。本当に辛い。




今回はもうどうにでもなれという思いも半分でした。

ここまできたら隠せないし、ぶちまけるしかない。




完璧主義はやめよう

私が泣きながら吐き出している間、2人は言葉を遮らずに聞いてくれました。
そして一通り聞いてから、A子が閉ざしていた口を開きました。

「Chikarin!さん、「しっかり結果を出したい」とか「ちゃんとやりたい」って、どこまでやったら満足ですか?」


→つづく

※次の記事で完結させます。